部会長挨拶 ( 日本産業衛生学会産業看護部部会長 五十嵐 千代 )

会長写真  めまぐるしい変化する近年の社会情勢において、産業看護への期待は高まる一方です。わが国における産業構造も企業の約9割が第3次産業となり、働く人の半数以上が強いストレスを感じる時代となっています。産業保健における健康課題は従来の有害業務からの作業関連疾患や生活習慣病予防に加え、メンタルヘルスや過重労働の問題が大きくなっています。メンタルヘルスや過重労働での健康問題は、働く人達の気持ちや思い、健康状態をきめこまやかに適切に把握し、個人・集団・組織に働きかけることによって健康支援できるものであり、まさに働く人達のもっとそばにいて多くの情報をもつ看護職だからこと、その役割に期待が寄せられています。
平成21年に保健師助産師看護師法が改正になり、看護基礎教育は大学が主流となり、産業保健が位置付けられている保健師課程も強化されます。保健師・看護師のそれぞれの専門性が強化されることから、看護職として社会ニーズに応えるべく今まで以上の機能と役割を発揮していかなければなりません。
産業看護部会では、“開かれ柔軟で迅速、一体化した産業看護部会” のもと、平成23年度産業看護部会総会で承認を得た、下記の3つの活動重点項目として進めてまいります。

1)新たな専門産業看護職教育制度の構築
平成7年からスタートした産業看護職継続教育を活かしながらも、保健師・看護師のそれぞれのライセンスの上に産業看護の専門性を積み上げ、産業看護職としての質の向上にむけ体系的にキャリアアップができる新たな教育システム構築を行います。
2)産業看護部会員の研究活動支援体制の構築
産業看護部会員が研究活動をとおして産業看護実践に寄与できるよう、国際的な学術動向も視野に入れ、産業看護部会員の研究の推進と研究活動をより一層活発化できるようなサポート体制を進めてまいります。
3)産業看護部会の全国的な組織化と基礎強化の推進
産業看護の専門性がより広く社会に認知され、産業看護職の社会的基盤強化のために、学術団体としての広報活動、関係機関との連携強化をおこなってまいります。また、産業看護活動の活性化のため、部会員の増員や地方会活動の促進をはかり、産業看護職が一体となれる全国組織化を進めます。

本学会の公益法人化にともない、産業看護部会も改革期にあります。改革の過程においては、部会員の皆様には丁寧な説明責任を果たしながら、産業看護部会活動が見える形になるように努めます。また、産業看護職として社会情勢に対応しながら、様々なあらたな問題に柔軟にかつ迅速に対応できるよう、アクティブな組織運営をめざします。 これからも、部会員の皆様のご理解・ご協力をどうぞよろしくお願いします。